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かまわぬ手帖 vol.19 〈手ぬぐいのデザイン〉柄の意味由来

手ぬぐいの柄に用いられる古典文様・吉祥文様には、それぞれに意味が込められているのはご存じでしょうか。
今回は、かまわぬのデザインより「縁起」を意味する柄を紹介してまいります。
 

無病息災

 
●ひょうたん
瓢箪はその形から邪気を吸い込み封じ込めるとされ、お守りや魔除けとして用いられてきました。
六つの瓢箪(ひょうたん)は「六瓢=無病」につながり、健康長寿を祈る吉祥文様とされています。

●獅子舞
お正月やお祭りなどで舞い踊る「獅子舞」は、悪疫を退治して無病息災、五穀豊穣を願います。
獅子舞が頭を噛むのは、人についている邪気を食べて追い払うという意味が込められています。

大願成就

 
ひしめきだるま/鯉の滝登り/茄子ちらし

●だるま
厄や病、災いなどを払う縁起物として、人々が願掛けを行っていた飾り物です。滅多なことでは倒れず、すぐに起き上がることから「七転び八起き」で縁起が良いとされています。
だるまの「目入れ」は、いかなる困難も克服して成就するようとの願いを込めて行います。

●鯉の滝登り
鯉は立身出世の象徴で、中国の故事が由来になっています。鯉は立身出世の象徴で、中国の故事が由来になっています。黄河にある竜門と呼ばれる滝を登り切った鯉が龍になったと言われています。
日本では江戸時代初期より、男児の立身出世祈願として描かれていましたが、のちに吹き流しの「鯉のぼり」が飾られるようになります。

●茄子(なす)
初夢にみると縁起が良いものとして「一富士二鷹三茄子」と茄子が挙げられています。
また物事を「成す=なす」と掛け、大願成就を願う意味合いがあります。

魔除け厄除け

 
和傘/利き酒/香辛料

●蛇の目(じゃのめ)
大小2つの円が蛇の目に見えることから蛇の目と呼ばれ、魔除けの意味があるとされています。蛇の目傘や、利き酒に用いられるお猪口の底にも、この蛇の目文様が描かれています。

●香辛料
香辛料=スパイスはさまざまな実や種から作られています。唐辛子は赤い色が魔を払い、家を守ってくれると言い伝えられています。

商売繁盛

 
池袋/願掛けてぬぐい 招き猫

●フクロウ
フクロウは夜行性で夜でも目が利くことから「見通しが明るい」、首がよく回ることから「開運・招福・お金に困らない」とも言われ、商売繁盛の守り神とされてきました。
また「福来郎=福が来る」「不苦労=苦労しない」など、縁起の良い意味もあります。

●招き猫
猫が毛づくろいをしている仕草が手招きをしているように見えることから「福を呼び寄せる」縁起物として置物が作られるようになりました。
右手を上げているものが「金運」を招き、左手を上げているものが「人(客)」を招くとされています。また手を高く上げるほどに、遠くからも縁や幸福を呼び寄せると言われています。

繫栄

 
青海波/藤丸紋/雲唐草

●青海波
青海波(せいがいは)は、穏やかな波がどこまでも続いている様子を模様にした吉祥文様で、雅楽や能の舞台などにも用いられています。文様には「未来永劫へと続く幸せ」への願いが込められ、末広がりの扇にも見える形から重ねて縁起が良い柄とされています。

●藤丸紋
藤は樹齢が長く強健で、蔓を伸ばしていく様子から、長寿や子孫繁栄の象徴ともされています。また丸は円満を意味し、円が連なる文様はご縁が続きますようにとの願いが込められています。

●雲唐草
「唐草」は文様の中でも歴史が古く、古代ギリシャまでさかのぼり、神殿の柱に刻まれていた草の文様が原形とされています。四方八方に広がる蔓模様は「繁栄」の意味があり、日本においては江戸時代、嫁入り道具や贈答品に用いられていました。

長寿

 
紅白まんじゅう菊/松竹梅に鶴亀/老松ぼかし

●菊
菊には、不老長寿の薬効があると言い伝えられています。
9月9日の「重陽の節句」は菊の節句とも言われ、花を飾ったり、菊の花びらを浮かべたお酒を飲んで健康長寿を祈ります。

●松竹梅に鶴亀
「松竹梅」は寒さの厳しい冬でも美しい葉や花を咲かせる生命力からおめでたい植物とされています。
「鶴は千年、亀は万年」は長寿を祝うときに使われることわざです。鶴は仙人に仕える吉鳥、亀は海神の使者とされ、夫婦円満や長寿を祈願する象徴とされています。

手ぬぐい柄には、手ぬぐいの柄には今回ご紹介した柄以外にも、たくさん縁起の良い意味があります。
贈りものに、差し上げる方のことを想って手ぬぐいを選んでみませんか。

次回、更新予定は11月5日(日)です。