自然環境、作るひと、サスティナビリティへ配慮した「エシカル」なもの。
日常の小さなことから始められる、もの選びの第一歩とは?
近頃、よく耳にする「エシカル(倫理的)」という言葉。貧困や環境破壊などの問題を考慮する、という意味で使われています。ものを買う、使う、移動する、食べる……、私たちは、毎日必ずなんらかの消費をしています。それに関わる人や社会、環境に配慮した消費行動のことを「エシカル消費」というそうです。
たとえば、生活排水で川や海を汚さないようなオーガニックの石けんやシャンプー、洗剤を使うことも環境を考えたエシカル消費のひとつ。
エコバッグや水筒、マイお箸。これは、ゴミが少しでも増えないように考えての行動。最近では、プラスチックゴミのあまりの多さに、ストローや歯ブラシなどの使用が見直され、マイストロー、柄の部分が木製の歯ブラシを使う人も増えているとか。
コーヒーやチョコレートなど、いわゆる開発途上国といわれる国で作られるものを選ぶとき。生産者が生活に十分な利益を得ているか、過酷な労働環境ではないかを知って、フェアトレードのものを選ぶ、というのもエシカル消費です。
そのものが作られる背景、使ったあとのことまで考える。私たちの日常には、いい世界へとつながるエシカルな暮らしのために、できる一歩がたくさんあります。
かまわぬでも、ある取り組みをしています。大量の洋服や布地、資源の廃棄が問題になっている今、私たちも商品のロスはひとごとではありません。わずかに染めがぶれてしまったてぬぐいをどうしたらいいか。その答えが、「オーバーダイ」、後染めすることでした。
多くある染めのなかでもかまわぬが選んだ方法は、鹿児島県奄美大島の伝統的な「泥染め」でした。奄美大島に多く自生する車輪梅(テーチ木)を細かくカットして煮出した染料(タンニンが豊富)で染めたものを、泥田(鉄分が豊富)に浸し、化学変化を起こして染めるのです。世界でも珍しい、奄美大島だけで行われている方法。
煮出した後の車輪梅は燃料として使われ、その灰はまた染め物にも利用できるというから、とてもエコロジカル。木と泥と水、身近にあるものだけでできる、自然の恵みと人の知恵の奇跡ともいえる染め方です。
そして、てぬぐいの色鮮やかな文様がうっすらとグレーに染まる様子は、新たな魅力に。
かまわぬでは、奄美大島の染色工房「金井工芸」にご協力いただき、不定期でてぬぐいを泥染めするワークショップを行っています。
まず、生地に車輪梅の染料を揉み込み、その後石灰を溶いたアルカリ性液に浸し、中和させ染めを促進させます。石灰がなかった昔は、珊瑚の死骸を焼いて砕いたものを使っていたそうで、ここにも、奄美大島ならではの自然と人知を感じます。最後に、泥に浸します。この行程を何度も繰り返すとだんだんと茶色~黒に染まるのです。
このワークショップを通じて染めを身近に感じていただくこと。汚れてしまった服やものでも染め直すことで新たな魅力が生まれ、また着られる可能性があること。そんな価値感を分かち合いたいと考えています。
下記泥染め藍染めてぬぐいのご購入は〈こちら〉