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第17回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館展示 ”ふるまいの連鎖:エレメントの軌跡”

 10月29日より「かまわぬ公式オンラインストア」にて第17回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館の公式グッズとして認定されましたてぬぐいを販売いたします。
 今回は2021年5月より開催されるヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館のキュレーターである〈門脇耕三氏〉に、日本館のコンセプトについてお伺いしました。

 「ヴェネチア・ビエンナーレとは、イタリアの水上都市ヴェネチアで開催される、国際的な展覧会です。世界最大規模の国際美術展として著名なこの展覧会は、歴史も長く、第1回の開催は1895年。当初は美術展からスタートしましたが、1980年からは建築展も開かれるようになり、現在では、美術展と建築展が毎年交互に開かれています。 ヴェネチア・ビエンナーレは、たいへん古い起源をもつ展覧会ですから、その形式も古式ゆかしく、参加の単位は「国」です。同じく19世紀末に始まったオリンピックと同様に、各国がそれぞれ、国を代表する出展作家を選び、独自の展覧会の企画を立てて競演するのです。2021年は、この日本館で、門脇耕三、長坂常、岩瀬諒子、木内俊克、砂山太一、元木大輔、長嶋りかこ、福元成武らのチームにより、『Co-ownership of Action : Trajectories of Elements』(邦題『ふるまいの連鎖:エレメントの軌跡』)と題した展覧会を開催いたします。」

展覧会のイメージ。木造住宅は日本館の屋外で組み立てなおされ、別の用途で活躍する Ⓒ DDAA + villageⓇ
Ⓒ DDAA + villageⓇ
Ⓒ DDAA + villageⓇ

 「わたしたちの企画の骨子は、使われなくなった日本の木造住宅を解体してヴェネチアへと運び、それを建築家が職人とともに、現地での即興的な創意を加えながら再構築するというものです。そのねらいは、ありふれたものを異なる文脈と創造的に結びつけることにより、別の特別な見え方を持つものへと変えようとすることにあります。たとえるならば、海外に行くと何もかもが珍しく見えるような状況を、積極的につくろうというわけです。
 現代社会のとどまるところをしらない大量消費は、モノの大量輸送によって助長されている側面があります。わたしたちは、この状況に大きな違和感を抱いており、不要になった住宅を移動させ、その意味を変容させることで、移動がむしろみずみずしい再生の契機となり得ることを示したいと思っています。また展覧会閉幕後は、展示していた木材などのマテリアルを、さらに別の場所へと移動させ、公共的な建物の材料として活用するプロジェクトがはじまりつつあります。」

ヴェネチアへと運ぶ住宅 Ⓒ ヤン・ブラノブセキ
解体材を保管した倉庫でのミーティング風景 Ⓒ ヤン・ブラノブセキ
解体された住宅の東京湾の倉庫での輸出作業風景 Ⓒ ヤン・ブラノブセキ

 「この展覧会は、当初は2020年中の開催が予定されていましたが、今回の世界的なコロナ禍により、開幕が1年間延期されることになったものです。ヴェネチアはただでさえ遠く、ヴェネチア・ビエンナーレはその知名度の反面、日本からはなかなか参加することが難しかった展覧会なのですが、コロナ禍は、それをさらに遠ざけるものになってしまうかもしれません。しかしわたしは、制作したオリジナルてぬぐいなどの販売を通じて、展覧会への幅広い参加の機会をつくりたいと考えています。そもそもこの展示は、日本の住宅をヴェネチアへと移動させるところから始まっているのであり、その意味で「展覧会」という枠組みを大きくはみ出すものです。展覧会への多様な関わり方を考えることは、したがって、わたしたちにとってはごく自然なことでした。
 このてぬぐいを多くの方々にお届けすることができればたいへん幸いです。」

第17回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展
日本館キュレーター 門脇耕三

 今年開催予定だったヴェネチア・ビエンナーレはコロナ禍で延期され、2021年5月22日~11月21日に開催されることとなりました。ビエンナーレ国際建築展の「日本館」の展示として、半年間の会期中にわたって展示物がつくり続けられる、参加型の展覧会を実現。閉幕後も、展示物が別の建物やプロダクトへと転用され、未来へとつながる展示を目指しています。

日本館展示主催者:国際交流基金ウェブサイトは〈こちら〉
ヴェネチア・ビエンナーレ公式サイトは〈こちら〉
クラウドファンディングのページは〈こちら〉
※現在クラウドファンディングは終了していますが、企画の詳細がご覧いただけます。

 今回発売するてぬぐいは、出展作家の長嶋りかこ氏が率いるvillageⓇがデザインを担当し、かまわぬは協賛企業としててぬぐいの制作を担当しました。今回のヴェネチア・ビエンナーレ日本館展示の公式グッズとしても認定されたオリジナルてぬぐいは「ストライプ」と「安全第一」の2種類。「つくり続ける」展覧会のコンセプトをあらわすため、工事現場で用いられているフォントやグラフィクスをモチーフにしています。2021年の展覧会本番では、日本館の案内係などのスタッフが身につける衣装として活躍する予定です。
 また、てぬぐいの他にヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館のカタログでもある書籍も販売いたします。展示内容である、日本の木造住宅を、ヴェネチアまで移動させて日本の建築家と職人によって再建するという軌跡を1冊の本にまとめてある書籍です。今はヴェネチアに訪れるのは難しい状況にありますが、この1冊で気分だけでもヴェネチア・ビエンナーレの雰囲気を感じられるかもしれません。

下記ヴェネチア・ビエンナーレ関連商品のご購入は〈こちら〉