新年度が始まる4月。うららかな陽気になにか新しいことを始めてみたくなる季節です。ここ数年の間、サスティナブル、エコロジカルな環境を目指すSDGs(Sustainable Development Goals)や健康志向の影響で注目されている新習慣に「自転車」があるそう。そこで、自転車専門店「tokyobike」吉祥寺店に勤務するセールス担当山口葉月さんの自転車ライフをうかがいました。
“なんでもない日常にささやかな変化を加えるツールとしての自転車”をコンセプトとするメーカー「tokyobike」。速く走る、移動するためではなく、街のなかを気持ちよく走れる、暮らしに寄り添った自転車、と人気を集めています。
排気ガスが出ないため、環境負荷が少ない移動手段であること。コロナ禍のなかで密を避けられること。体を動かすことで健やかになれること。いくつもの理由が重なって、ここ数年で通勤に自転車を選ぶ人がぐっと増えた、と山口さん。
山口さんも、自転車通勤を選んだひとりです。
「1年ほど前に、自宅近くにあった店舗から吉祥寺店に異動になったんです」
電車だと10分、自転車だと約30分の距離。実は電車移動のほうが近いけれど、あまりの気持ちよさに真夏も真冬も自転車通勤を継続中とか。
「緑が多い公園のそばを通ったり、おいしそうなお店を見つけたり。季節や街の変化がわかるのが、自転車通勤の楽しいところです。体を動かしているせいか、睡眠の質もあがりました」
tokyobikeの同僚たちは、みんな超がつくほどの自転車好き。休みの日には、自転車で集まるほど仲がいいとか。
「谷中、中目黒の他店舗のスタッフと誘い合って代々木公園で持ち寄りピクニックや、“おいしいものめぐりライド”として下町の名店をめぐったり。思いつきで、まだ建設中だった新国立競技場を見に行ったこともありました。自分が暮らしている東京ですが、視点が変わって都内観光をするのも楽しいんです」
男性スタッフが多いため以前はついていくのに必死だったけれど、今では格段にペダルを漕ぐスピードが上がったと笑います。
そんな山口さんのかばんのなかみは、通勤、休日かかわらず、動きやすさを重視してミニ財布、携帯、名刺入れ、手帳、サドルの高さ調整のための六角レンチ、ハンドクリームとリップクリーム、そして、汗をふくためのてぬぐい、となんとも身軽!
体を動かして、五感を刺激し、心地よい汗をかく。自転車を通じたこの習慣が、山口さんの心と体を軽やかに保ってくれる理由のようです。
山口さんが健やかである、もうひとつの新習慣がお昼ごはん。コロナの影響で営業スタイルがかわり、13時〜14時は昼休みとしてお店を閉めて昼休憩をとるようになったそう。その流れで、週に1回ほど、スタッフ全員分のおかずをつくるようになりました。
「朝にばばっと作れるものしか作らない」と謙遜しますが、以前は飲食関係に勤めていたという料理好き。この日のおかずは、押麦とケールのサラダ、茄子と豆腐のハンバーグ、茄子とアスパラの煮浸し、パプリカのマリネ。野菜たっぷりでごはんにも合う、健康的なおかずばかりです。
「お弁当のように細かく詰めたりせず、大きな容器におかずを入れて、てぬぐいでぎゅっと包んで持参しています。ごはんは店舗にある炊飯器で炊いて。週1回くらいの無理のないペースだから続けられるのかな」
店の軒先にテーブルを出して、スタッフ全員で囲むお昼ごはん。いっせいにしっかりと休めるうえコミュニケーションも深まり、仕事のモチベーションもあがるとか。
最後に、山口さん愛用のてぬぐいを見せていただきました。
いちばんのお気に入りは、tokyobikeオリジナルのもの。
「自転車に乗る人、ドリップされているコーヒー、カメラ、レコード、落語家さんなどtokyobikeが楽しいと思っているものごとのイラストが描かれているんです。このてぬぐいを眺めていると、楽しくなります」。
日常を少しだけ盛り上げてくれる名脇役、てぬぐい。ここにtokyobikeが目指す自転車のあり方との共通点がありました。
企画・プロデュース 矢口愛子(NON-GRID.Inc)
撮影 山本康平
取材 柳澤智子
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